<Jaffa cakes ジャファケーキ >
今年はなかなか梅雨が明けませんが、湿度の高い日本、ビスケットをお皿に出しっぱなしにしていたら湿気ちゃったわ~なんてこと、よくありますよね。今から25年程前のイギリスで、この「ビスケットが湿気てやわらかくなる」という現象が問題解決の鍵となった裁判がありました。
イギリスに国民的人気を誇るJaffa cakes (ジャファケーキ)」というお菓子があります。直径5.5cmほどのビスケット型で12枚ひと箱に入ったそれは1927年にマクヴィティ 社(現United Biscuits社)が売り出してから紅茶のお供として愛され続ける超ロングセラー。スポンジケーキとビスケットの中間のような薄い生地の上にオレンジのゼリー、そしてチョコレートのコーティング、この三味が一体となりお口の中で奏でるハーモニー(どこかのCMのようなセリフですが)、わたしも大好きなイギリスビスケットのひとつ。「ビスケット」、、、そう名前にケーキとつきますが、見かけや扱われ方は「ビスケット」、この曖昧さゆえに、ある時裁判沙汰の問題が勃発しました。「ケーキって言ったらケーキだよ」と主張するマクヴィティ側、「見るからにビスケットじゃないか」と主張する政府、正直どっちでもいいんじゃない?と思ってしまいますが、これが実は大問題。イギリスのVAT(付加価値税)日本の消費税に匹敵するものは20%と高いのですが、基本、生活必需品に対しては非課税。食品も細かく区分されており、ビスケットは非課税、チョコがけビスケットは贅沢品とみなされ課税対象。そしてなぜかケーキに関してはチョコレートがかかっていてもいなくとも非課税。ということはジャファケーキがもしビスケットなら、チョコレートコーティングがされているので、政府はたっぷり徴税できるというわけ。両者譲らずしばし論争は続きますが、結果はマクヴィティ側の勝ち。「時間経過と共に湿気るのがビスケットで、乾燥して固くなっていくのはケーキ」という基本概念(?)に基づき実験した結果、ジャファケーキは固くなっていったので「ケーキである」と結論付けられたためでした。
でもチョコチップビスケットやチョコレートサンドのビスケットは非課税で、チョコレートが上にかかっていると課税されると言うのも不思議な話しですよね。笑ってしまうのはジンジャーブレッドマン。目に使われる二粒のチョコレートまでは非課税ですが、そこにボタンやベルトのチョコレートがつくと課税対象。なんて難しいんでしょう~。こんな感じで笑っちゃうものが沢山あります。お菓子作りによく使うジンジャーのシロップ漬けは非課税、このシロップ漬けにお砂糖をまぶしたクリスタライズドジンジャーは課税対象。HMRC(Her Majesty’s Revenue and Customs イギリスの歳入税関庁)いわく、「手でつまんで食べる甘く加工したフルーツは課税対象」なので、そのままお茶菓子として食べることもあるクリスタライズドジンジャーは課税対象になってしまうのですね。で、もっとすごいのは、トフィーアップル(りんご飴)は棒に刺さっていれば非課税(手で直接つまみませんからね)、トフィーがけしただけで棒に刺さずに売られている場合は課税対象なのだそうです、、、もはやHMRCのその労を厭わない区分け作業に脱帽です。
話しをジャファケーキに戻しましょう。ジャファケーキのJaffa はイスラエルのJaffaという町の名に由来するJaffa Orangeというオレンジの品種から。マクヴィティは「ジャファーケーキ」という名を商標登録しなかったので、キャドバリーはじめ、スーパーのオウンブランドものなど各メーカーから様々なジャファケーキが発売されています。姿も四角いものやバー状のもの、ロール型のもの、近頃ではジャファケーキといいつつ、オレンジではなく、チェリー味やストロベリー味、アップル&ブラックカラント味なんてものまで登場。どれも長く続かないところを見るとオリジナルのオレンジ味には敵わないようですが。それにしても、チョコレートがけ云々はさておき、ビスケットもケーキも生活必需品とみなしてくれるイギリスって素晴らしい!日本なら同じ政策を採っても、きっとビスケットもケーキも贅沢品ということで課税対象でしょうから。わたしにとってはビスケットとケーキはお米より生活必需品なのに~。
2件のコメント
日本でもまたオンエア始まりましたものね(^^)それにしてもあのジャファケーキも美味しそうでしたね~♪
GBBOで分からないケーキがわかって嬉しいです。(≧▽≦)