第142話 Scripture cake~スクリプチャーケーキ~

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okashi


<Scripture cake スクリプチャーケーキ>

別名「Bible cake(バイブルケーキ)」「Old Testament (旧約聖書)cake」などと呼ばれることもある「スクリプチャーケーキ」が今日のお題。ご想像にたがわず、Scripture=聖書、つまり「聖書ケーキ」という意味ですが、この神聖な名前からどんなお菓子を想像しますか?教会で洗礼を受けるときや、礼拝などで食べるケーキ?それとも聖書に手を当て結婚の誓いをした後に食べるウエディングケーキのようなものとか?いろいろ想像は膨らみますが、さにあらず。もちろん聖書に関係は大有りなのですが、ケーキが登場する場面ではなく、このケーキを作る際に聖書が必要となるのです。よほど敬虔なキリスト教信者で、聖書はもうほぼ暗記しているわ、なんて人だけはなくとも大丈夫ですが。「早く答えをおしえてよ」と思っているあなた、謎をかけているわけではありませんが、スクリプチャーケーキはまさになぞなぞのようなケーキ。
まずは材料をご覧下さい。

<Ingredients>
① 200g Judges v:25 (last clause)
② 250g Jeremiah vi:20
③ 3tbsp I Samuel xiv:25
④ 4 of Jeremiah xvii:11
⑤ 170g I Samuel xxx:12 (second food)
⑥ 170g Nahum iii;12
⑦ 100g Numbers xvii:8
⑧ 500g I Kings iv:22
⑨ 1tsp II Chronicles ix:9
⑩ a pinch of Leviticus ii:13
⑪ 2tsp Amos iv:5
⑫ 5tbsp Judges iv:19 (last clause)

「???」ですよね。作り方もご同様。
Chop the Nahum iii and Numbers xvii fine. (Nahum iii と Numbers xviiを細かく刻みます)
Cream together Judges v, Jeremiah vi, and I Samuel xiv.( 次に Judges vとJeremiah vi、 I Samuel xiv をクリーム状に練りましょう)
… と続いていきます。

スパイス類にはちみつ、いちじくなどなど、聖書に登場しそうなものがいっぱい☆

材料はスパイス類にはちみつ、いちじくなどなど、聖書に登場しそうなものがいっぱい☆

ヴィクトリア時代に人気を博したこのスクリプチャーケーキ、その答えは聖書の中。ひとつひとつの材料にあてがわれたナンバーは聖書の1節。そこを見ると答えがあるのです。例えば、①の材料 Judges v:25 (last clause) は士師記 第5章25節
「He asked water, and she gave him milk; she brought him butter in a lordly dish.」
の最後の句に登場する食材、つまり 「バター」を指しています。

こんな感じで材料を準備する時点でまず、ひとつひとつ聖書をめくることになるので、少女たちに聖書とベイキング、両方のお勉強をさせることが出来ると、日曜学校でしばしば活用されていたそうです。現在は、地元のニューズレターや教会の会報、あるいは教会の小さな売店や郵便局などに置いてある地域の婦人会のレシピ集などの中に時折見かけます。わたしも初めてこのレシピを見たときは??がいっぱいで何がなにやらさっぱり分からなかったのですが、ある時、答えあわせがついているものに遭遇。ようやく合点がいったのでした(笑)

正解すると出来上がるのはドライフルーツたっぷりのいわゆるイギリス的なフルーツケーキ。配合はレシピにより多少違いはありますが、大抵イチジクとはちみつ、スパイスが入り、なかなか美味しいケーキです。それほどドライフルーツの量も多くないので重すぎず、家族が集まる日曜のお茶の時間にもぴったり。日持ちもしますから、聖書をめくる時間と心の余裕がある時に作っておくのがおススメ。謎解きに挑戦したい方、是非お試しあれ。

見た目はいつものイギリスフルーツケーキですが、作る過程が楽しいのです☆

見た目はいつものイギリスフルーツケーキですが、作る過程が楽しいのです☆

作り方は~材料①②③をボールに入れてクリーム状にし、④をすこしずつ加えます。
次に⑤と刻んだ⑥⑦、合わせてふるった⑧⑨⑩⑪と⑫を加え、粉っぽいところがなくなるまで混ぜたら生地は完成。 紙を敷いた直径22cmの型に入れて150~160℃のオーブンで120分程焼きます。
(竹串を刺して焼きあがりのチェックを&途中表面が焦げすぎるようならアルミホイルをかぶせましょう)

レシピの解読に時間がかかりすぎちゃったから、焼き時間はもうちょっと短縮で、、、というときは、全ての材料を半分にして、直径18cmの型で作っても。これなら70分くらいで焼けるはず。たまには聖書を広げて一人サンデースクール。こんな休日の過ごし方も悪くないと思いませんか。食べごろは翌日以降なので、土曜日に作って、日曜のお茶菓子にしたらさらに楽しめそう♪

答え合わせしたい方のために、念のため答えも下に記しておきます







*答え*
① バター(無塩) ②砂糖 ③はちみつ ④卵 ⑤レーズン ⑥ドライフィグ
⑦アーモンド ⑧小麦粉 ⑨スパイス(シナモン、ミックススパイスなど好みで) ⑩塩
⑪ベーキングパウダー ⑫ 牛乳

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About Author

宮城県仙台市出身☆ 2008~2012年イギリスにてイギリス文化&イギリス菓子を大吸収するかたわら、日本で主催していたお菓子教室をつづけていたところ、あぶそる~とロンドンの編集長に出会う。 現在の居は巡りめぐって宇都宮。イギリス菓子教室 'Galettes and Biscuits' にてイギリス菓子の美味しさ&魅力を静かに発信中☆ 2018年2月 美味しいイギリス菓子をぎゅ~っと詰め込んだレシピ本「BRITISH HOME BAKING おうちでつくるイギリス菓子」、2018年 12月 「イギリスお菓子百科」。2020年12月「ジンジャーブレッド 英国伝統のレシピとヒストリー」、2021年9月「British Savoury Baking 古くて新しいイギリスのセイボリーベイキング」 を出版。インスタグラム@galettes_and_biscuits

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