第195話 Queen Elizabeth cake /Platinum jubilee pudding~クイーンエリザベスケーキ/プラチナジュビリープディング~

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イギリスおかし百科


<Queen Elizabeth cake /Platinum jubilee pudding~クイーンエリザベスケーキ/プラチナジュビリープディング>

この6月、イギリスではエリザベス女王のプラチナジュビリー(即位70周年)を祝う行事が盛大に執り行われ、コモンウエルスの国々はおろか、日本までそのお祝いムードは波及。わたしも日本に居ながら、久しぶりに華やかなニュースと映像に幸せのお裾分けを享受していました^^
イギリスでは新型コロナの呪縛からようやく解かれたこともあり、新たな節目と、みんなの喜びはひとしお。イギリス各地でストリートパーティーが開かれ、ユニオンジャックのバンティングの下、様々な手作りケーキが並んだはず。コロナ自粛中は皆こぞってベーキングに励んでいたというから、上達した腕前を披露できた人も多かったことでしょう(笑)

Jemma のレモンスイスロールアマレッティトライフル

今回のプラチナジュビリーのイベントの一つとして大きく取り上げられていたのが、「プラチナプディングコンペティション」。フォートナム&メイソンが中心となって、エリザベス女王のお祝いにふさわしいプディングを国中から募集したのです。条件のひとつは特別な道具や材料がなくとも、誰もがおうちで再現することができ、一緒にジュビリーウィークエンドを祝えるプディングであること。8歳から108歳まで、5000にも及ぶ応募レシピを審査したのは、フォートナム&メイソンのペストリーエグゼクティブシェフから、バッキンガムパレスのヘッドシェフ、国民的料理研究家のメリーベリーはじめ錚々たるメンバー。

最終審査に残った5つのプディングを前に審査員たちがどれも美味しいとうなる様子はBBCでも放送されましたが、You tube でも観られるのでご興味のある方は是非ご覧になってみてください。

まずはレモンカードとスイスロール、アマレッティビスケット作りから☆

女王に捧げるプラチナプディングの栄光を勝ち取ったのはイギリス北西部サウスポートに住む Jemmaさん。このコンペティションに応募するまで、フォートナム&メイソンを訪れたこともなかったそう。彼女が作ったのは「レモンスイスロール・アマレッティ・トライフル」。女王の結婚式の際に供されたレモンポセットとアマレッティビスケットにヒントを得たのだとか。

レモンカードを巻いたスイスロールをベースに、オレンジとレモンのゼリー、カスタード、アマレッティビスケット、マンダリンクーリー、そして生クリームにホワイトチョコレートの飾り、と幾層にも重なったトライフルはとっても豪華。でも一つ一つのパーツはシンプルで、親しみのあるものばかり。特にマンダリンクーリーはみかんの缶詰にちょっとお砂糖とレモンを加えて加熱し、とろみをつけただけのものと、女王様に捧げるプディングだけれど、なんだか微笑ましいくらい庶民的。手間はかかるけれど、決して難しくはないし、材料費もそれほどではありません。

シトラスジェリーにカスタードにアマレッティビスケット…

レシピも公開されているので、きっと多くの人たちが、ジュビリーウィークエンドにはこのプディングを楽しんだに違いありません。

今から70年前、エリザベス女王が戴冠した際(1953年)に祝宴でふるまわれた一品としては「コロネーションチキン」が有名ですね。当初の名前はフランス料理の学校ル・コルドンブルーが考案しただけあってフランス風に「Poulet Reine Elizabeth(エリザベス女王のチキン)」でした。未だ戦後の食糧配給制度下だったイギリス。戴冠式のランチョンの一品としては少々庶民的にも思えるこの鶏胸肉のカレー風味マヨネーズ和えは、「プレ・レーヌ・エリザベス」改め「コロネーション(戴冠式)チキン」と呼ばれ巷で大流行、オリジナルのレシピよりは大分簡易バージョンにはなっているものの、今も定番家庭料理のひとつです。
ちなみにこの時のデザートはというと、苺のガレットにロールケーキ、レモンムースと、オーソドックスなラインナップだったため、特に話題にはならなかったよう。

ですがこれとは別に、この戴冠式のために考案された(と言われている)ケーキに「クィーンエリザベスケーキ」なるものが存在します。

ココナッツのせバージョンのクィーンエリザベスケーキ☆

お湯で戻したデーツでしっとり感をだしたそのケーキはバターと卵はごく少量、やはり食材に制限がある時代を反映した、いたってシンプルなケーキです。けれどトッピングはちょっと贅沢に、バターと砂糖、クリームを煮たてたトフィー風味のもの。
カナダで見られるものにはこれにココナッツが加わり、さらに軽く焼き色が付けられます。現在のイギリスではそれほどポピュラーなケーキではありませんが、カナダでは今もよく食べられているようです。

 

アイシングとクルミをのせたクィーンエリザベスケーキ☆

一説によると、エリザベス2世の戴冠式ではなく、1937年のジョージ六世とエリザベス皇太后の戴冠式のために作られたという説もあり、コロネーションチキンほど出所ははっきりとはしていませんが、エリザベス女王の名の付いた数少ないケーキです。
スティッキートフィープディングを彷彿とさせる材料と手順で、前述のプラチナプディングと比べるとかなりシンプル、とても家庭的な美味しいケーキです。

ちょっぴり甘いけれど、それもまた「贅沢」だったのでしょう、お祝いのお菓子ですから☆
一般的な作り方をご紹介しておきますので、是非一度お試しを。

 

デーツとブラウンシュガーたっぷりの素朴で美味しいエリザベスケーキ☆

<クィーンエリザベスケーキ>22㎝角型1台

①  デーツ200gを刻み、重曹小さじ1と共にボールに入れ、熱湯200mlを注ぎ、30分程置いておきます。

②  薄力粉250gベーキングパウダー小さじ1塩少々を合わせてボールにふるい入れます。無塩バター75gを刻み入れ、指先でバターをすりつぶすようにしながらサラサラのパン粉状にします。

③  ②のボールに、ブラウンシュガー200g刻んだくるみ50g卵1個バニラエクストラクト少々、そして①のデーツの水分を切って加え、均一な生地になるようゴムベラで混ぜ合わせます。

④  オーブンペーパーを敷いた型に流し、170℃に予熱したオーブンで45分程、中央部分に弾力が出るまで焼きます。

⑤トッピングを作ります
ブラウンシュガー50g無塩バター50g生クリーム大さじ2を鍋に入れて火にかけます。2分程ふつふつと煮たてます。冷めて濃度がついたところで、焼きあがったケーキに流します。お好みで刻んだクルミを散らしましょう。

※ココナッツバージョンの場合は、沸騰させたトッピングにココナッツロング50gを混ぜ、焼きあがりすぐのケーキの上に流し、もう一度高温のオーブン(230℃位)に戻します。軽く焼き色がついたらすぐに取り出して冷まします。

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About Author

宮城県仙台市出身☆ 2008~2012年イギリスにてイギリス文化&イギリス菓子を大吸収するかたわら、日本で主催していたお菓子教室をつづけていたところ、あぶそる~とロンドンの編集長に出会う。 現在の居は巡りめぐって宇都宮。イギリス菓子教室 'Galettes and Biscuits' にてイギリス菓子の美味しさ&魅力を静かに発信中☆ 2018年2月 美味しいイギリス菓子をぎゅ~っと詰め込んだレシピ本「BRITISH HOME BAKING おうちでつくるイギリス菓子」、2018年 12月 「イギリスお菓子百科」。2020年12月「ジンジャーブレッド 英国伝統のレシピとヒストリー」、2021年9月「British Savoury Baking 古くて新しいイギリスのセイボリーベイキング」 を出版。インスタグラム@galettes_and_biscuits

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